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ジールスが準国産ヒューマノイド「D1」を発表:二足歩行を捨て、人手不足の現場へ500万円から

tech2026-08-19 · 1 min read · 439 reads

接客AIを手がけるジールスが、準国産のコンパクトヒューマノイド「D1」を発表した。あえて二足歩行を採用せず車輪型を選んだこのロボットは、1体500万円からで、医療や製造、ホテルなど人手不足に悩む現場での稼働を想定している。

接客向けのAIを手がける日本のスタートアップ、ジールスが2026年8月5日、人型ロボット「D1(ディーワン)」を発表した。準国産のコンパクトヒューマノイドと位置づけられるこのロボットは、深刻化する人手不足に直面する医療や製造、物流、ホテルといった現場での稼働を想定しており、価格は1体500万円からとされている。

D1は日本の現場に合わせてゼロから設計され、世界中から部品を調達したうえで国内で組み立てられた、いわゆる準国産のセミヒューマノイドである。本体価格の500万円に加え、毎月20万円からのソフトウェアおよびサポート費用がかかる。8月5日から導入相談と受注の受付を開始し、初回ロットの納品は10月を予定している。

スペックも実務を強く意識したものだ。身長は昇降機構によって129.3センチから159.3センチまで調整でき、総重量は110キロ、台車部の横幅は48センチに収まる。自由度は全体で21あり、片腕あたり5キロの物を運べる。連続稼働時間は約8時間、最高速度は秒速1メートル、位置決めの精度はプラスマイナス5センチとされている。

二足歩行をあえて捨てた理由

D1の最大の特徴は、人型でありながら脚ではなく車輪で移動する点にある。代表取締役CEOの清水正大氏は、人が行き交う屋内で二足歩行ロボットを動かす場合、転倒のリスクを完全になくすことは難しいと指摘する。歩行の安定制御に資源を割くよりも、腕による作業能力を優先したという明確な設計思想が背景にある。

安全性への配慮も細部に及ぶ。腕のすべての軸にトルクセンサーを備え、人や物に接触を検知した瞬間に動作を止める仕組みを持つ。最小通過幅は65センチと狭い通路にも対応し、乗り越えられる段差は1センチ以下に抑えられている。人と同じ空間で安全に働くことを最優先に設計されているのが分かる。

どこで働くのか

D1は両腕で物品の運搬や作業補助を行い、受付や案内、見守りなど人手不足の現場を支援する。
D1は両腕で物品の運搬や作業補助を行い、受付や案内、見守りなど人手不足の現場を支援する。

D1が最も活躍を期待されるのが医療や介護の現場だ。受付での案内や患者の誘導、待ち時間のアナウンス、高齢者への声かけ、さらには見回りや配膳の補助まで、幅広い業務を担うことが想定されている。慢性的な人手不足に苦しむ医療現場にとって、こうした周辺業務を任せられる存在の意味は小さくない。

活躍の場は医療にとどまらない。製造や物流の倉庫、ホテルのフロントなど、屋内のさまざまな現場での稼働が見込まれている。AIによる自然な対話や多言語対応、案内やナビゲーションに加え、双腕を使った物品の運搬や作業補助を通じて、人が足りない職場を裏側から支える役割を果たす。

実証の裏づけもある。ジールスは2026年3月、筑波大学附属病院においてヒューマノイドロボットの実証実験を実施した。そこではロボットが院内を障害物を避けながら自律的に移動することを確認しており、今回のD1発表は、こうした現場データの積み重ねの上に成り立つ製品だと言える。

「準国産」という選択

D1をめぐって象徴的なのが、準国産という位置づけである。設計やAI、ソフトウェア、制御、そして組み立てや導入は日本国内が主導する一方で、モーターやバッテリーは海外製を採用し、ハンド部分は中国で製造されている。完全な国産ではないが、頭脳と最終工程を国内に置くという現実的な落としどころを選んだ形だ。

ジールスは2014年に創業した企業で、2016年にはチャットボット事業へと軸足を移した。2022年には5億円を調達し、これまでに400社以上の企業にサービスを提供し、4億5000万件を超える会話データを蓄積してきたという。2025年11月にはロボット事業を担う新部門を立ち上げ、今回の発表へとつなげている。

今後の展開

ジールスは当面の目標として、2026年度内にD1を100台量産する計画を掲げている。初回ロットの納品を10月に始め、人手不足の現場で累計10,000時間の稼働を目指すとしている。まずは限られた台数を実際の職場に投入し、そこで得られる運用データを次の改良につなげていく狙いがあるとみられる。

労働人口の減少が続く日本にとって、こうした実用重視のロボットが現場に根づくかどうかは大きな試金石となる。派手な二足歩行ではなく、安全と作業能力を優先した車輪型という割り切りが、はたして受け入れられるのか。D1の量産と現場投入は、日本のヒューマノイド戦略の現実解を占う試みとして注目される。

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